事業を営んでいる起業家や経営者、作品を創りだすクリエイターは、『より多くの人に使って欲しい、価値を届けたい』と望んでいます。そんな時によく使われる言葉が、「誰でも」とか「みんなに」という言葉です。
一見とてもよい言葉のように見えますが、この言葉に大きな罠があります。
誰でも・みんなにという言葉を使う弊害
想像してみてください。
あなたは街を歩いています。
『誰でも無料でお使いいただけます〜』と叫んでいる人がいます。きっと何かの宣伝かキャンペーンなのでしょう。
あなたはその言葉を聞いて、振り向くでしょうか? 興味を持つでしょうか?
たくさんの人が忙しく早足で歩いている中、『誰でも無料でお使いいただけます〜』という言葉だけ聞いて、あなたは足を止めるでしょうか?
実際これは、ほとんどの人が無視をします。
人は、『誰でもいいです』と言われても、それだけでは見向きはしません。
誰でもいいというのは一見良い言葉ですが、逆を返せば『あなたでなくてもいい』という意味も含まれています。『誰でもいい』というのは、『あなたでなくてもいい』というメッセージを発信しているのと同じなのです。だから、人は振り向かないのです。
「誰でも・みんなに」を表す英語のeveryone, anyoneには、どちらも一人の人を示すoneが含まれています。みんなに使って欲しい、誰にでもできるようにしたいを望むのであればあるほど、みんなを見るのではなく、たった1人の人をどれだけ大切にできるか、が問われます。
「みんな」を考えれば考えるほど、誰かたった一人の人について考え、深く知ることが必要になる。
逆説的ですが、望むこととやるべきことが直線的な関係になっていないのは、世の中の仕組みとしてとても面白いものです。
「誰でも・みんなに」を表すeveryone, anyoneには、どちらも一人の人であるoneが含まれている。
みんなを望むのであればあるほど、たった一人の人のことをどれだけ大切にできるか、考えられるかで道は開かれていくのです。
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