【試作品】ゼルダの伝説とiPhoneのプロトタイプに共通すること

今は誰でも使っているような有名な製品やサービスにも、アイデアの段階では必ずプロトタイプ(試作品)というのがあるものです。開発者やエンジニア、クリエイター以外では日頃あまり目にする機会がない試作品。ここでは、さまざまなイノベーションの素となる試作品やプロトタイプをご紹介します。

ニンテンドースイッチの大人気ゲーム、ゼルダの伝説ブレスオブザ・ワイルド。3Dのオープンワールド形式でどんなことでもできる自由度の高さが話題となった作品。製品版は3Dでグリグリ動く見た目ですが、企画段階で開発者達が創ったものはまるでファミコン画面のような上から見下ろすタイプのものでした。



見た目こそ製品版とは似ても似つかぬ印象を受けますが、ブレスオブザ・ワイルドの最大の特徴であるゲームのインタラクティブ性は、プロトタイプでも顕在。開発者たちがこだわったのは見た目ではなく、『ゲームでどのような体験ができるか、そして、その体験は面白いかどうか』でした。企画段階のプロトタイプは体験の確認として創られたものです。


今や世界中で多くのユーザーが使っているApple社製スマートフォンのiPhone。2007年に初代iPhoneが発売され、日本では2008年iPhoneの第2世代であるiPhone3Gがソフトバンクが通信キャリアとして初めて発売しました。

登場から10年以上が経った現在でもApple社の主力製品であり、バージョンアップを重ねたiPhoneはX(テン)まで改良が続けられています。

そんなiPhone開発時のプロトタイプがこちら。

動画を見ると、P1とP2という2つのバージョンがあり、左側がiPodの父と呼ばれるトニー・ファデル氏のチームが開発した「P1」、そして、右側がMacチームを率いていたスコット・フォーストール氏が開発した「P2」とのこと。

どちらのiPhoneもAppleのシンボル、りんごではなく、どんぐりのロゴ画面が表示されています。Apple社内では「AcornOS(どんぐりOS)」と呼ばれていたものだそうです。

P1の方が圧倒的に起動が早く、P2は使えるようになるまでかなり時間がかかってます。操作体験もP1とP2ではまったく違うことが見てとれます。

P1とP2、どちらが採用されたかは動画を見れば一目瞭然なので、ぜひiPhoneのプロトタイプもチェックしてみて下さい。

プロトタイプを見てみると、その製品が何を重視して創られているのかが見えてきます。試作品なので製品版とは程遠い部分もありますが、試作品にもあって、製品版にもあるものというのは、その製品をカタチづけるDNAのようなもの。

今、まだここにない、新しいものを創り出そうする開発者たちは、さまざまな試行錯誤を続けながら、使い手であるユーザーの体験が最高のものとなるよう、日々努力をし続けています。

そして、プロトタイプを創る時、大切なことは2つ。

  1. たくさん作ること。
  2. 汚く(雑に)作ること。

です。特に大事なのは、「汚く(雑に)創る」という部分。一見、プロトタイピングでもきれいに作った方が良いように思われますが、『雑に作らないと、壊せなくなります』

雑に作るからこそ、すぐに捨てられ、また試せるメリットがでてくるので、どうせ捨てるものと思ってあまり力を入れ込みすぎないようにしましょう。

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