事業をやっているとよく出てくる言葉の一つに、『戦略と戦術』という言葉があります。それらの意味的な構造関係は、戦略 > 戦術 と考えられていて、戦略があり、その戦略を実現するために複数の戦術があるというイメージを多くの方が持っていると思います。
だからまず、戦略を考えて〜、その後に戦略を実現する戦術を考える。
こんな風に多くの社長や起業家は捉えています。しかし、実はここにちょっとした思考の落とし穴があります。
戦略の存在意義と目的
戦略(Strategy)とは、文字通り「戦いを略する」と書きます。戦いを略すること。つまり、戦いをしないことが最大の目的であり、「戦いをしないために」考えるべきことが戦略になります。
戦術の存在意義と目的
対して、戦術(Tactics)とは、「戦いの術」です。これは戦い方であり、戦って勝つためには、どういう状況のとき、どういうことを実行すればいいか、また、その一連の計画などを指しています。
Wikipedia には、このように書かれています。
戦術(せんじゅつ、英: Tactics)は、作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術である。そこから派生して言葉としては競技や経済・経営、討論・交渉などの競争における戦い方をも意味するようになる。(Wikipedia より抜粋)
戦略と戦術の決定的な違い
戦略と戦術は、どちらも特定の目的を実現するための思考フレームワークですが、思考の層が変わると『目的の実現の方向性も変わる』のが面白いところです。
下位層である戦術思考では、「競争の中でいかに戦いに勝つか?」と無意識のうちに考えています。そのように考えるのは、その状況が過酷な競争環境にあり、目的を実現するには絶対に競争に勝たなければならないという外部環境の大前提があるからです。だから、人は戦いに勝利することに意識が向かいます。
その上位層である戦略思考では、そもそも「競争するかしないか」を自らが選べるようになります。競争というのは絶対に変えられない前提ではありません。競争の有無すらも自分で選ぶようになります。そして、可能な限り、戦いをしない、いかに戦いを略し目的を実現するかという意識で世界を見るようになります。
戦略と戦術もある特定の目的を実現するときに考えるべきことですが、思考のレイヤーによってまったく真逆の意味を持ち、捉えられているのが面白いところですね。
あなたのやりたいこと、やるべきことを実現するために必要なのは、戦略でしょうか?
それとも戦術でしょうか?
問題設定を変えると、今のあなたに必要な答えが見つかりやすくなります。
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