会社において人を雇うというのは、仕事の対価として報酬を支払うという意味合い以上に、「その人間と利害関係を共有すること」にある。
だから数年前までの日本的な価値観で言えば、会社は家族であると経営者はよく表現していた。終身雇用という約束で明確に会社と従業員の利害関係が共有されていて、従業員が一生懸命働ければ会社が成長し、会社が成長すれば従業員に還元したり、パフォーマンスが出なかったとしても最低限の生活の保障をする、というセーフティネットによる利害関係である。
雇用にかぎらず、投資や出資において同様のことが言える。「起業家の器はどれだけ借金ができるかで決まる」というが、多くの人からお金を借りられるというのはそれだけの信用があると同時に、多くの利害関係者(ステークホルダー)を生み出している。
特に株主の権限は最も強力で、これらステークホルダーの意思によって、その物事が成就するか失敗するかが決まるといっても過言ではない。
「私と一緒に仕事をすること、この会社でこの目的のために仕事をすることに対して、どれだけコミットしていますか?」という質問に対して、具現化されたものがお金という物質だ。そして、そのお金によってお互いが繋がるきっかけとなる。
スタートアップなど新しい価値観、新しい目的を持ったチームであればあるほど、お金以外の目的で繋がる方がうまくいく。
お金以外の理由で繋がるきっかけというのは、とても大事だ。お金がきっかけで形成された関係は、お金がなくなればなくなる関係でもある。昔からよく言われる「金の切れ目が縁の切れ目」というやつだ。
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