シリコンバレーやスタートアップ界隈では知らない人はいないスタートアップインキュベータの雄であるYコンビネータ(Y Combinator LLC)。Yコンビネータで現在の代表を務めるサム・アルトマンが、今までスタートアップに対して行ってきたアドバイスをまとめ、「Startup Playbook」として公開している。
日本語訳は、こちら。
多数の成功スタートアップを排出するYコンビネータとは?
Yコンビネータは、スタートアップ企業に対し投資し事業育成を行っているカリフォルニア州マウンテンビューのベンチャーキャピタルである。他のスタートアップファンドと比較した場合、Yコンビネータは非常に少ないお金(2万ドル前後)を提供するのが特徴で、たった3カ月間で集中的に指導し他のベンチャーキャピタルなどから投資を受けられる状態まで育てている。
2005年にポール・グレアム、ロバート・T・モリス、トリヴァー・ブラックウェル、ジェシカ・リヴィングストンにより設立され、現在までにDropbox、Airbnb、Heroku、redditなど数々のスタートアップを成功に導いている。
1.アイデアを生み出すこと
Y Combinatorが始めにスタートアップに必ず聞く質問がこれです。内容はもちろんのこと、この順序に価値があります。
- 「何を作っているのか?」
- 「なぜ作っているのか?」
- 「誰がその製品を心の底から欲しがるのか?」
- 「市場の大きさ・成長速度・10年後に市場が拡大する理由は?」
これがスタートアップアイデアの枠組みです。アイデアなくしてプロダクトは生まれず、どんなにヒト・モノ・カネやスキル、能力があろうと、スタートアップは成長していきません。
その一度目の創造段階が、アイデアです。
2.優れたチームを創ること
そして、アイデアを実現するためには一人では難しい。そのためには、どういうカタチにせよあなた以外の人、つまりチームが必要になります。
素晴らしいチームになるには、あなた自身の能力や態度が大切です。
- 行動力・決断力があること。
- 機知に富んでいること。
- 知性や情熱があること。
また、サム・アルトマンいわく、「成功しやすい起業家は、従業員が一緒に仕事をしていてもストレスを感じない」という性質を持っているとのこと。
コミュニケーション能力は起業家にとって非常に重要な能力で、サム・アルトマンは「コミュニケーション能力こそが起業家に最も必要な能力かもしれない」と話している。
3.優れたプロダクトを手に入れること
過去に成功したすべてのスタートアップに共通しているのは「優れたプロダクトやサービス」を持っているということです。例外はありません。プロダクトこそ会社であり、事業そのものなのです。
つまり、成功とは「良いプロダクトやサービスをを創り、提供すること」であり、これが唯一の方法です。
そして、プロダクトはすぐに優れたプロダクトになるわけではありません。プロダクトの使い手であるユーザーからのフィードバックがあり、そのフィードバックによって最善なカタチへと最適化されていきます。
優れたプロダクトを創るためには、プロダクトだけではなく、チームとは別の「優れたユーザー」が必要なのです。
そのキッカケをあなたが手に入れられるかどうかがですが、これは「あなたが、良いユーザーと人間関係として繋がれるかどうか」というのがポイントになります。ただ、モノやサービスだけみて創るわけではないのです。
ここでそのような人と出会えるかどうかは、1のアイデアと2のチームで述べられているコミュニケーションが大きな影響力を持っています。
4.成長する仕組みを創りだすこと
優れたプロダクトを手に入れて事業を始めたら、次はそれが成長しているかどうかを見ることです。
成長のスピードを生み出すには、「目標を定めてチームメンバーを目標達成に集中させる」ことが大切です。
今の成長を妨げているのは何か、大きな飛躍をもたらす急速な成長を生み出すのに必要なことは何か、などの成功のモデルを考え、それに基づいたアクションプランや行動をチームメンバーに見せ、実行を促すこと。
こうして、成長のモデルを一つずつ創り上げていきます。
5.集中すること
サム・アルトマン氏が見てきた起業家の中で、優秀な人であればあるほど「プロダクト」と「成長」に集中して仕事に取り組み、その他のことは一切やらないとのこと。
さまざまなことをやるよりも、今のプロダクトをブラッシュアップしたり、目標を達成したりするのが先決で、それだけに集中して全力を注いでいます。
この他にも、様々なスタートアップのアドバイスがまとめられています。スタートアップに限らず、ゼロから何かを生み出すときに使える汎用的な考え方ですので、一人で事業を創りあげたいクリエイターもぜひ読んでみることをおすすめします。
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